機械式時計だから、メンテナンスや修理といったオーバーホールが必要になってくるのかな?
こんな質問に答えます。
この記事で分かること
- 高級腕時計のオーバーホールをする頻度と期間
- 時計をオーバーホールする時の金額目安
- 時計のオーバーホールは不要?しないとどうなる
- オーバーホールの費用を抑えるための普段のお手入れ方法と使い方
折角、買った高級腕時計なら、オーバーホールしないのは勿体ないです!。
定期的に、時計をオーバーホールすることで、結果的に長期間、キレイな状態で時計を使えます。出来る範囲でケアしてあげましょうね。
Contents(目次)
高級時計のオーバーホールをする頻度
まず、オーバーホールとは、時計を分解、補修、クリーニングなどのメンテナンスをする作業のこと。車の車検にたとえられます。
一般的に、時計のオーバーホールの頻度を表すとこのようになります。
(ただし、詳細は、腕時計メーカーによって異なります。)
時計の駆動方式 | オーバーホールの頻度 |
機械式時計 | 3~5年 |
クォーツ式時計 | 7~8年 |
腕時計の種類は、ムーブメントという、何を動力にして時計の針が進むのかという点から見て、機械式時計とクォーツ式時計に分けられます。
- 機械式時計
→手動式と自動式がある - クォーツ式時計
→クォーツの他、ソーラー、ソーラー電波、GPSハイブリッド電波ソーラー式もある
一般的に、機械式時計の方ばかりオーバーホールが必要だと思われていますが、実は、クォーツ式時計でもオーバーホールは必要なんですよ。
機械式時計の場合は、3~5年の頻度で、オーバーホールが必要だと言われています。
使用頻度によりますが、ほとんど使わなくても、内部のオイルが硬くなってしまい、時計が動かなくなる原因となるので、オーバーホールはやっぱり必要なんです。
機械式時計とは、ぜんまいのほどけていく力を歯車に伝えることによって、時計の針が進む仕組みとなってます。
さらに細かくいうと、機械式時計には、ぜんまいの巻き上げ方によって、手動巻きと自動巻きがあります。
手動巻きとは、その名の通り、毎日使うたびに、手動でリューズ(時計の右側にある凸部分)を優しく回すことで、ゼンマイが巻き上がる仕組みとなっています。
自動巻きとは、腕に腕時計を身につけているだけで、自動的にゼンマイが巻き上がる仕組みで機械式時計の主流となってます。
最初の時刻合わせだけは必要となりますが、あとは、日常的に使用している限りでは、時刻合わせをする必要はありません。
自動巻きには、ローターなど自動でゼンマイを巻き上げるための小さなパーツが100つ以上使われているのが特徴的。
そのため、定期的にオーバーホールをしてメンテナンスしていく必要があります。
機械式時計には、次のような色々な機能が装備されている時計がありますよね。
- ストップウォッチ機能のついたクロノグラフ
- 月、日、曜日などを表すカレンダーウォッチ
- 月末やうるう年の修正が不要なパーペチュアルカレンダー
こういった機能があればあるほど、多くの精密で複雑な仕掛けが、あの小さな腕時計に内蔵されているんですよ。
だからこそ、機械式時計が高級時計といわれるゆえんであり、時計自体のお値段が高額になる一つの理由なんです。
クォーツ式時計でもオーバーホールは必要
クォーツ式時計は、電池で動く時計だし、オーバーホールが不要だと思われがち。
でも、電池交換だけでなく、オーバーホールも必要なんです!。
ただし、オーバーホールの頻度は、7~8年に一度と機械式時計よりは少なくて済みます。(各時計メーカーや使用頻度によって全く異なります。)
- 電子回路の寿命が約10年
- 歯車の注油が必要だから
- 防水のゴムパッキンの交換が必要
クォーツ時計の電子回路は10年ほどの寿命のため、使えなくなったら、すぐ交換する必要があります。
さらに、油が劣化してくると、電池の減りも早くなりますし、時刻のズレも生じてきます。
防水のゴムパッキン部分も劣化すると、湿気や水分が入り込んで錆びたり、電子機器が壊れる可能性もあります。
こういった理由でクォーツ式時計でもオーバーホールが必要になるんです。
10年経つと、電子回路に使われる部品が古くなって、生産終了になっている場合もありますが、パテック フィリップやカルティエは、長期間部品を保管していることで知られています。
反対に、一般的にクォーツ式の腕時計は、オーバーホール不要だといわれる理由がこちら。
- 止まっても電池交換すれば直る
- 安い時計に高い修理代金が納得いかない
大量生産の安い時計なのに、不釣り合いに高い交換費用がかかるため、買い替えた方がマシという考えから、オーバーホールが不要ともいわれてるんです。
ですが、クォーツ式時計といっても、なにも100均ショップで売られているクォーツ式時計ばかりではありません。
シャネルやグッチ、カルティエなどの高級ファッションブランドの時計にも、クォーツ式時計は沢山あります。
さらには、パテックフィリップやロレックスのような時計専業メーカーでも、一部クォーツ式時計もあるんです。
これらの高級時計は、安くても数十万するので、簡単に買い替えられるようなモノでもありません。
ソーラー時計もオーバーホールが必要
ソーラー系時計も、5~6年の頻度でオーバーホールをした方が長持ちします。
ソーラー系時計には、ソーラー時計、ソーラー電波時計、GPSハイブリット電波ソーラー時計があります。
文字盤にソーラーパネルが組み込まれており、太陽光や蛍光灯などの光を集めて内部電池に充電する仕組みです。
時計内蔵の電力を蓄える二次電池は繰り返して使えるため、クォーツ式のような頻繁な電池交換は不要。
ですが、長期使用してくると電池も摩耗してきますし、5~6年以上経つと潤滑油の劣化などが原因で時計が動かなくなってしまうこともあるとか。
もし、なるべく長期間使っていきたいのであれば、注油やパーツ洗浄をしてオーバーホールをしながら使っていきましょう。
時計のオーバーホールにかかる金額
オーバーホールにかかる金額は、ブランド、時計の仕様、そして、どこの修理業者に依頼するかによって変わります。
複雑なメカニズムの時計であればあるほど、オーバーホール料金は高くなってきます。
そのため、クロノグラフ>自動巻き時計>手巻式時計>クォーツ式時計 の順番で、オーバーホールにかかる金額が高くなってくるんです。
機械式時計のオーバーホール料金
海外製の高級機械式時計
業者 | オーバーホール費用 |
メーカー正規店 | 5~10万円 |
民間修理業者 | 3~8万円 |
パーツ交換費用は含まれていないため、別途金額が上乗せになります。さらに、取り付け技術料も上乗せになります。
オーバーホールを依頼する時には、値段の中に何が料金に含まれているのか見積書で確認すると良いでしょう。
革ベルトの場合は、消耗も激しいことが考えられますし、ハイブランドの時計だと、使われている素材も高価なので、オーバーホールもそれなりにお金がかかってきてしまいます。
メーカー正規店に依頼すると、オーバーホール費用が高くつきますが、オーバーホール後1~2年の保証がつくので、手厚い保証と安心感が得られるのがメリットです。
クォーツ式腕時計のオーバーホール料金
クォーツ式時計のオーバーホール料金の目安がこちらになります。
海外製のクォーツ式時計
業者 | オーバーホール費用 |
メーカー正規店 | 4~6万円 |
民間修理業者 | 2~4万円 |
国内製のクォーツ式時計
業者 | オーバーホール費用 |
メーカー正規店 | 4,000~6万円程度 |
民間修理業者 | 5,000~4万円程度 |
参考元:webChronos
クォーツ式時計の電池交換は2,3年に一度必要
クォーツ式腕時計の電池交換費用はこちら。
3,000~6,000円程度
国産メーカーの腕時計だと1,500円程度
海外メーカーのハイブランド腕時計だと2,000円~5,000円程度
電池交換を民間業者やメーカー正規店にお願いすると、動作確認やクリーニングもあわせてしてくれるところもありますし、なによりも、修理技能士が丁寧に細かく見てもらえるという安心感があります。
自分で電池交換をして時計を傷つけてしまわないかヒヤヒヤするより、安心して業者に任せた方が、時計を大事に扱うことにもつながりますね。
電池が切れたままにしておくと、電池から微量の電力が放電され続けた状態になってしまいます。
この状態が長く続くと、電池内部の圧力が上がり、安全弁からガスと電解液が漏れてしまい、時計内部へダメージを与えてしまいます。
電池が切れたら早急に電池を交換する必要があるので、忘れないでくださいね!。
ソーラー電波時計の電池交換は、8~10年に一度必要
ソーラー電波時計は、電池交換不要だと思われていますが、実は、二次電池という電池を使っています。
ソーラー電波時計の文字盤に太陽電池が配置されています。その蓄電した光エネルギーを電気エネルギーに変換して時計が動いています。
この電気エネルギーを蓄える時にニ次電池といって電池が必要になってくるんです。
二次電池は、繰り返して充電して使えるのですが、ニ次電池が徐々になくなると、光を当ててもすぐに時計が止まってしまいます。
メーカーや使い方によって、このニ次電池の寿命は変わってきますが、大体8~10年というところ。
電池交換も可能ですが、セイコー、シチズン、カシオは、部品の保管期限が7~10年の間となっています。
また、シチズンやセイコーは、電池交換する時には、油の劣化ということも考えられるため、オーバーホールとセットになっており、電池交換のみ依頼することはできません。
カシオでは、ウェブで電池交換見積もりが出来るので、型式をインプットして検索すると概算が分かりますよ。
電池交換料金は、業者によって全く値段がバラバラなので、ご参考程度にとどめておいてくださると助かります。
業者 | 電池交換費用 |
メーカー正規店 | 電池交換のみ受け付け不可 (シチズン・SEIKO) ソーラー電波時計 3,000円~ |
民間修理業者 | ソーラー時計 ~5,000円程度 ソーラー電波時計 ~7,000円程度 |
メーカー正規店と民間修理業者の違い
メーカー正規店の場合は、交換するパーツもそのブランド純正のものを使います。
一方で、民間修理業者にオーバーホールを依頼すると、安いし納品も早いというメリットもありますが、純正でないパーツを使う可能性もあります。
そのため、一旦、民間修理業者でオーバーホールをしてもらった時計を、数年後メーカー正規品に持込したところ、パーツが純正でないため、受け付けてもらえなかったという場合もあるんですよ。
時計のオーバーホールにかかる期間
オーバーホールにかかる期間は、メーカー正規店と民間業者によって変わります。
メーカー正規店の方が、約4~8週間とやや時間がかかる傾向があります。
民間修理業者だと、時計の状態や修理難度によって、2週間~6週間となることが多いようです。
時計のオーバーホールの内容
①異常個所と交換必要箇所の確認
現状確認のために、動作状況やキズの確認、防水機能などのチェックを行います。
②分解した各パーツを洗浄
時計についた油(皮脂)を自動洗浄機や超音波洗浄で落としていきます。
ベルトは、豚毛などのブラシで溝に挟まった汚れを落とします。
③修理、交換作業を行う
洗浄が終わったパーツを組み立てながら、各パーツの摩耗をチェック。
新しい潤滑油を注入したり、防水機能に欠かせないゴムパッキンなどの部品交換、時刻の精度調整や修理を行います。
潤滑油も数種類あり、パーツによって粘度の違うオイルを使い分けているんです。
④ケーシング
最後に、時計の針やベルトをつけて時計の組み立て完了
⑤最後に精度チェック、防水検査などのテストを行ってオーバーホール完了
鼻息で部品が飛んでしまいそうなほどの小さなパーツをなくさないように、細心の注意を払いながら、ピンセットで分解や組み立て作業を行います。
オイルの量の調節など職人技が必要とされる作業は特に重要な工程。
メーカー正規店だと、修理を行う人は、スイス本国の基準に沿った専任トレーナーによるトレーニングと検定を受けたりと、自社基準をクリアした人達がオーバーホールを行っていますが、外部委託をしている場合もあるようです。
日本では、時計修理技能士(1~3級)という国家試験があり、試験に合格した人たちがオーバーホールをしていることが多いです。
民間修理業者だと、メーカー正規店に比べて、修理を行う人の腕、技術にばらつきがあるといったデメリットがあります。
時計のオーバーホールをしないとどうなる
時計内部には、数種類の潤滑油が使われており、オーバーホールをしないで使うと、油が劣化してきます。
さらに油が切れてしまうと、部品同士が摩耗して時計の精度を狂わせてしまい、最終的には針が止まってしまうんです。。。
オーバーホールをしないと、部品同士が摩耗して破損してしまうことで、時計が止まってしまうことが多いんですね。
そうなってからでは、オーバーホールの料金も高くかさんでしまいます。最悪、修理不可能という場合もあるかもしれません!。
定期的にオーバーホールをすることで、部品交換せずにすむので料金を抑えることができます。
また、時計の裏蓋にあるゴムパッキンも、汗や湿気、水分が入ってしまうと劣化してしまい、防水性が落ちてしまいます。そうなると、やはり部品が破損してしまい動かなくなってしまいます。
ブランドによっては、部品を長期間保管しているので、一生モノにすることだって可能ですよ。
オーバーホールの費用を抑えるためのお手入れ方法
オーバーホールの料金をなるべく安く抑えるためにも、日々の生活の中でできることを紹介します。
日常生活の中で、時計のお手入れ方法はこれ1つ!。
毎回使い終わった後に時計を拭く
まず、セーム革やマイクロファイバー、メガネ拭きで、毎回、腕時計を使い終わった後に、汗や皮脂汚れを落とすために拭きます。
面倒でも、この拭くお手入れだけは、した方がいいですよ!。
その後、金属ベルトの場合、細かい凹凸部分のベルト汚れには爪楊枝を、リューズ部分の凹凸部分には、柔らかい歯ブラシを使って汚れを取ります。
中性洗剤を薄めて綿棒につけて洗う方法もありますし、超音波洗浄機という方法もありますよ。
革ベルトは、特に汗や水分が劣化の原因となります。一日の終わりには、柔らかい乾いた布でなでるように優しく革ベルトを拭きましょう。
汗など汚れが気になる場合は、水に濡らして硬く絞ったタオルをベルトに優しく押し当て、汚れを吸収させましょう。
場合によっては、革用クリーナーやレザートリートメント(汚れがつきにくくなる)を塗ってケアしてあげるといいんですよ。
腕時計を使用する上での注意
時計を長く使うために、使う時の注意点を紹介します。
まず、最初に、腕時計は精密機械でできているため、デリケートなんです。そのため、できるだけ優しく触ってあげましょう。
- 磁気に近づけない
- 湿度や水に気を付ける
- 直射日光を避け通気の良い場所で保管
- クローゼット内の脱臭剤や乾燥剤もNG
- 衝撃に弱いので安定した場所に保管
- アクリルケースや腕時計専用ケースに保管
時計内部には金属製の部品が使われているため、パソコンやスマートフォン、テレビ、バッグの留め金といった磁気のある電子機器に近づけると、故障のリスクが高まります。
防水性のある時計なら良いのですが、そうでない場合は、水や湿度が高い所に保管しておくと、ゴムパッキンから水分が入って、ケース内部が白く曇ったり、部品を錆びさせたりと故障につながる原因にもなります。
クローゼット内に保管する時も注意が必要です。
というのも、意外と、乾燥剤も時計内部の潤滑油を乾燥させてしまうので、部品の摩耗を引き起こしてしまうんです。なるべく遠ざけて置きましょう。
非防水モデルの場合は、梅雨など湿気が強い時などは、使用を控えるのも賢い方法です。
また、革ベルトは秋冬シーズンに使い、金属ベルトを夏のシーズンに使うという選択肢もあります。
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オーバーホールとは、時計を分解して洗浄し、修理、部品の交換、油の注入などを行うメンテナンス作業のこと。
腕時計には、機械式であれ、クォーツ式時計、ソーラー電波時計であれ、定期的にオーバーホールが必要となります。
海外製ブランドの機械式時計の方が、オーバーホール料金も高く、オーバーホールの頻度も高いです。
ですが、オーバーホールを考えると料金もかさむし、やっぱり高級時計を買うのは面倒だな…とためらってしまうのなら、試しにレンタルしてみるという方法もあります。
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